13. 内申評定の変更について思うこと


 今回の通信ではここ数年毎年のように変わり続ける公立高校の入試制度について率直な意見を書きます。

来年度以降の大きな変更点は前期日程の多くの学科が後期日程に移行し、普通科の前期・後期受験を廃止して後期一本化にすることと、調査書における内申点の評価方式が大きく変わることでしょう。日程変更にともなう改革についてはまた別の機会で述べさせていただくとして、今回のメインは内申評定についての改革についてです。

具体的には①相対評価から絶対評価へ ②9科目の均一評価へ ③ 学力審査と内申点の評価比率の多様化 が変更の要点になります。


 ① 相対評価から絶対評価への移行については再三要望されていたところであり、ようやく実現される段階になりました。

 相対評価では、度数分布からの評価割合が決まっていることから、学習達成度と乖離した評価がつくことがありました。例えば、90点以上が学年で50人でると9ないし10の評価がつくためには限りなく100点に近づけないととれないのですが、この評価が果たして本当に妥当なのかは甚だ疑問の残るところです。そして、一番の問題点は、中学校間で学習達成度に大きな差があるために、相対評価では絶対評価に比べてより不公正な内申点の評価をされていることです。例えば、ある中学校では全体のレベルが低いために内申点が出やすく内申評定が有利にはたらくが、逆に全体的なレベルが高いと学力はそこそこあるのに内申点が伸び悩むために内申評定が合格の足かせになります(もちろん高得点が続出する問題の作り手の問題もあります)。そして、学力的には十分合格基準に達しているにもかかわらず、内申点がとれていなため、志望校を変更せざるえないという生徒が毎年でてくるのです。

 今まで絶対評価が導入されなかった背景には、学習達成度の評価基準をどこに線引きするのかが難しいという現場の意見があったことと、各高校入学者の地域バランスが考慮されてのこと(こちらの要因の方が大きいと考えています)ですが、今回の絶対評価の導入でようやく改革の第一歩というところまできました(それにしても公立教育の改革の遅さには公的機関の病理が垣間見れます)。

 私は常々努力したものが、正当に評価されないような評価基準を続けて教育に携わる者が子供たちに何を語るのかずっと疑問に感じていましたが、絶対評価の導入により少しでも先に述べた問題点が解決できるかを注目していきたいと考えています。


 ②9教科の均一評定についても、ずっと待ち望まれていたことです。現制度では学力審査が行われる科目の内申比重が低くて、学力審査がない副教科の内申比重が異常に高い評定の対象になっています。おそらく公教育においては単に学力のみならず副教科や部活動など幅広い学習の達成度を総合的に審査すべきとの理念のもと決められたものでしょう。

 しかし、それを極端にすすめたために学力がないのに内申点はもっている生徒がいたり(この場合も学力がないため上位校を受けられず内申点の持ち腐れ現象が起こります)、逆に学力があるのに副教科が苦手なために志望校を諦めなければならない、といった内申評価と学力との逆転現象が起こることがよくあります。そして、一番の問題点は評定のあり方が生徒の学習意欲を阻害していたり、あるいは何か実力以外の評定が加えられているのでないかという内申制度への不信感を生み出していることです。内申評定が実際何を目的にしているのかの議論が十分なされておらず、生徒のために実施されているわけでないこと(だからこそ、改革するのにこんなにも時間がかかっているのでしょう)を考えた場合、今回の改革の方向性としては評価できるものです。


 ③ 学力審査と内申点の評価比率の多様化についても歓迎されるべき方向性だと考えます。調査書の目的が先に述べた総合的な評価にあるのだとしたら、高校の特色によってその比重も変えなければならないのは当然です。誤解を恐れずに言えば、トップ校の審査では高い比重がある内申評定など不要で、(このことは、受験する生徒が感じているだけでなく、受け入れる高校側もそのように考えているのではないでしょうか)、むしろ今年度まで行われた前期B問題のような問題の質をあげたテストで審査すべきです。逆に特色ある学科を設けている学校には内申評定を重視する理由があります。それらの選択の幅が広がることで高校側が入学してほしいと考える生徒とその高校へ行きたいと真剣に考えている生徒との距離が縮まる可能性があるのです。


 私立高校に比べて何か焦点が定まってない公立高校のカリキュラムの内容が少しずつ変わりはじめてから数年がたちます。普通科以外にもさまざまな学科が設けられるようになりました。看板だけの学科を設けて内容が伴っていない高校と質を重視したカリキュラムを提供して卒業生の進路も入学当初の意向にそっている高校との差がかなり出始めています。卒業生や現高校生の話を通じて、各高校の姿勢がどれほど本気なのかはすぐわかります。そして入試制度の変更によって少しでも子どもたちの将来の進路に直結したものになるように配慮することが教育に携わる者の責任だと考えます。  (2015年2月1日)