15.志望校の選択


今回のテーマは、志望校の選択についてです。ここ数年公立高校普通科が前期・後期と受験できたとあって、前期の残念な結果を受けて後期試験に向かう受験生たちが志望校の選択に悩む姿を見てきました。前期試験前は私立高校に無事合格できたことを受けて志望校受験に強気でいたのが、前期で決めきれなかったことで複雑な感情が芽生えてくるようです。そのまま強気で突破すべきなのか、安全策をとるべきなのか、考えれば考えるほどわからなくなって私の意見を求めてくることもしばしばです。


私はその時、自分の高校受験のことを思い出します。初受験にして、あまりにも衝撃が強すぎたためか今でもはっきり覚えています。私の場合、中学入学当初からいわゆる難関私立高校志望で専願受験したものの失敗し、さらに行く気になれなかった公立高校も受験に失敗するという経験をしました。当時の私は、《完全に終わったな》という絶望感で迎えた3月下旬でした。学校全体が合格報告で浮かれる中、ただ一人進路先が決まらない状態で担任との面談をして、私立高校の2次募集という制度があると聞かされました。正直知らない高校名が並んでいるリストをぼんやり眺めながらその中から大学進学が狙える高校を選んで2日後すぐ受験をしました。



第1志望の私立受験に失敗した後に、担任から公立高校のランクを下げるように強く勧められました。その理由は、中3の2学期からの転入により、《副教科は10段階で全て5までしかつけられない》旨の理不尽な宣告を受けて、内申点が伸び悩んでいたためでした。それでも公立のランクを下げるという判断をすることなく強行突破して案の定失敗したわけです。客観的に見れば、《愚かな判断》といえます。しかし、あの時に公立のランクを下げて受験した方がよかったか?と尋ねられれば完全に《NO》です。目標をもって中学生活をおくっていた中で最終的な結末としてそのような安易な妥協をしていたら、次の目標に向けて気持ちを入れることができたか甚だ疑問でした。


3月下旬の2次募集受験の時に、驚いたのは私と同じように全敗した生徒たちがかなりいることでした。負のオーラで満ちた満員の教室の中で受験生に温かい言葉をかけてくれた試験官の先生のおかげで私は不思議と冷静でいられました。そして、それまで聞いたこともない(失礼ですいません)高校の先生の人柄に触れることで、この学校でぜひやっていきたいと強く願い、全教科完全な解答に近い形で試験を終えることができました。合格発表の日のことは今でも忘れません。それまでの全敗という結果によって自信という要素が完全にうばわれた中で、数人の合格者の番号が張り出された掲示板に自分の番号を見つけたとき、《夢ではないよな-、本当かな、ああよかった》という安堵感。しかし、一方で私と異なる結果の受験生が横で泣き崩れる姿を見たときの複雑な気持ち。それまで生きてきて切実に感謝の気持ちをもったことなどまったくなかったのですが、中学生にして本当に《神様、ありがとう!》という言葉しかありませんでした。

そして、高校入学後もこの学校に救われたという気持ちはずっと変わることがありませんでした。高校の授業がたとえ大学の志望校に向けたカリキュラムとしては満足できなかったとしても、合格体験記を読みあさり書店で買った参考書・問題集を自力ですすめる楽しさがありました。中学校の時の半強制的な勉強ではなく、自分のための勉強を進めていけたため、高校生活で勉強面でしんどさを感じたことがなかったことも不思議な感覚でした。そして何より学友にも担任の先生にも3年間恵まれ続け私の高校生活はすごく充実をしたものになりました。今思えば、あの合格発表の時の気持ちがあったからこそ誰よりも高校生活を充実させる必要があったのかもしれません。



私が自身の高校受験を経験して考えたのは、受験校の選択肢に当たりや外れがあるわけでないということです。大事なことは自分がその時に考えたことに責任をもって、後悔なく、そして何より自分が納得して選択するしかありません。 私のような経験は誰も経験したくないケースかもしれませんが、受験するまで名前すら聞いたこともない(何度もすいません)高校に進学してあれほど充実した高校生活をおくれるなど全く予想外のことでした。 そして、中学生の時に自分のした高校選択に今でも後悔はありません。


義務教育が中学校で終わる以上、ここからは自分の足で進み、そして高校生活を充実させることができるかは自らの考え方次第ではないでしょうか? 成功から得られることもあれば、私のように大失敗から得られることもあります。普段から生徒に言い聞かせているのは、高校は自分の夢をかなえる通過点でしかないということ、そして夢や目標は家で悶々としてても生まれないこと、外に出ていろいろなことにチャレンジすることから見えてくるものだということです。           

受験シーズン終了まで残りわずか、自分の力を出し惜しみすることなく頑張ってほしい。                                            

  (2015年3月9日)